「本棚には裏がある」酒井順子著

公開日: 更新日:

「本棚には裏がある」酒井順子著

 1982年、ドイツ出身の日本文学研究者、イルメラ・日地谷=キルシュネライトが日本滞在中、女性作家たちにインタビューをした。その記録が最近、出版されたのだが、書名は「〈女流〉放談 昭和を生きた女性作家たち」(岩波書店)となっている。当時は「女性作家」が「女流作家」と呼ばれていたのだ。「女流文学賞」が存在し、書店には「女流文学」の棚があった。

 斎藤美奈子は「女流作家」という言葉を死語にしたのは、80年代後半にデビューした山田詠美や吉本ばなならの力が大きいとみている。86年には男女雇用機会均等法が施行され、その翌年、芥川賞と直木賞の選考委員にはじめて女性が就任。「女流」の枠は崩壊した。(「『女流』の消滅」)

 世相を読み解く鋭いエッセー。

(毎日新聞出版 1760円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲