「日本の最も美しい図書館 改訂版」立野井一恵著

公開日: 更新日:

「日本の最も美しい図書館 改訂版」立野井一恵著

 この欄に目を通している読者なら、本好きであることは間違いないだろう。そして本好きにとって、本屋と同じくらい心躍り、そしてあるときは心休まる場所が図書館だ。近年はイベントに注力したり、有名建築家設計の建物など、さまざまな図書館が話題となっている。

 本書は、全国に数ある図書館の中から、一度は訪れてみたいと思わせる「美しい」図書館を紹介するガイドブック。

 東京・武蔵野市にある「成蹊大学情報図書館」に一歩足を踏み入れれば、そこはまるで未来都市。1階から5階まで大きく吹き抜けたガラス張りの閲覧・学習スペースには、「プラネット」と呼ばれるこれまたガラス製の巨大な球形のドームが5基、空中に浮かんでいるかのように設置されている。

 これらはグループ用の閲覧室でゼミやグループ学習に利用されている。

 OBの坂茂氏と三菱地所設計による協働作だ。

 ほかにも、内部が視聴覚ホールや学習室になっているモザイクタイル張りの塔を建物の四隅に備えた愛知県の「日進市立図書館」や、まるでケーキの箱のような真っ白な直方体の建物の外壁に6000個もの丸窓が配された石川県「金沢海みらい図書館」など、現代アートばりの図書館の美しさに驚かされる。

 対照的に、近代化産業遺産に認定されているレンガ造りの元紡績工場を再利用した兵庫県の「洲本市立洲本図書館」や、財閥の寄付によって明治37(1904)年にオープンしたギリシャ神殿を彷彿させる重厚な「大阪府立中之島図書館」、昭和8(1933)年に竣工した全国でも珍しい総ヒノキ造りの元小学校校舎を活用した滋賀県の「甲良町立図書館」などの歴史を積み重ねた名建築も網羅し41施設を紹介。

 旅先で、その土地の図書館を訪ねてみるのも楽しそうだ。

(エクスナレッジ 1980円)

【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発