ドジャース大谷翔平「右上腕二頭筋の違和感」で浮上する投手生命の不安...圧巻投球には大きな代償が
大谷翔平(32=ドジャース)が、日本時間5日のパドレス戦を欠場した。
理由は「右上腕二頭筋の違和感」。4日の同カードで右飛に倒れた第3打席のスイングで生じたという。
当日は投打同時出場で、今季最多となる110球を投げて6回7安打3失点。その直後の打席の違和感だった。ロバーツ監督によれば「あくまでも予防的な措置」で、七回の4打席目は代打を送られ、翌日の試合も欠場した。
「体の問題ではない。きょうは最初から休養日と決めていた。あす(6日)は出場する予定」
ロバーツ監督はこう言ったものの、「(違和感は)1、2カ月前くらいにも練習でなった」と本人は話しているだけに予断を許さない。4日の試合後は痛めている左膝に加えて、右肘周辺をアイシングしていたのだ。
「大谷は今季、投球フォームを改良した。本塁に向かって真っすぐ並行に体重移動できるようになった。昨年までは体が三塁方向にブレて、エネルギーが効率良く伝わらなかったが、今年はブレていない。開幕から全身の力をすべて、指先に伝えられるようになった。けれども、5月くらいから再びブレるようになってきたのです」と、日頃から大谷の投球をチェックしているア・リーグのスカウトがこう続ける。
「いったん三塁方向にブレてしまった体を、真っすぐに戻して投げる。その際、肩肘には大きな負担がかかるのです。本人もそれが分かっているから練習のときは真っすぐ体がブレないよう意識して投げているものの、シーズン途中から実戦でブレてしまうケースが増えた。プレーボール直後は体重移動が真っすぐだったのに、本塁打を打たれた直後からブレるようになったこともあります」
昨年までのフォームがクセになっているというか、体に染み付いているのかと思ったら、体のブレによって肩肘に負担のかかる投げ方にはメリットもあるという。
「スイーパーの威力が増すのです。体が三塁方向にブレると、腕が横振りに近くなってスイーパーが大きく真横に曲がるようになる。それに比べて本塁に向かって真っすぐ体重移動したときのスイーパーは曲がり幅が小さい分、縦の変化が加わるのですが、打者にはこの真横に大きく変化するスイーパーの方が効果的なのです」(前出のスカウト)
このスカウトは「本塁打を打たれた直後から体がブレるフォームになった」と言っている。それはすなわち、大谷は肩肘への大きな負担を承知した上で、あえて打者に有効な昨年までのフォームで投げているということではないか。
大谷はこれまで本塁打王2回、打点王1回、MVP4回。打者としての勲章は数知れない一方で、投手としてはサイ・ヤング賞投票4位(2022年)になったのが最高で、タイトルはひとつも獲得していない。メジャーの頂点に君臨する二刀流選手ながら、「投手としてはいまひとつという自覚もある」(大谷と親しい球界OB)らしい。
「投げる方は今年が最後」
大谷は5日、32歳になった。野球選手としてのピークを迎えつつあると言っていい。二刀流なのに「投手としていまひとつという自覚がある」だけに、年齢からいっても今季、投げる方にかける意欲は並々ならぬものがあるのだろう。
「すでに2度、右肘靱帯修復手術をしている大谷は、もう一度、同じ症状になったら投手を断念すると示唆している。160キロ台の速球を投げているのだから、ただでさえ右肘にはかなりの負荷がかかっています。体のブレによる肩肘への大きな負担を覚悟してまで、横に大きく曲がるスイーパーにこだわるのは、何が何でも投手としての爪痕を残したいという強い気持ち、意志があるからではないか。投げる方は今年が最後になるかもしれないというくらいの覚悟をもって腕を振っているように思う」(前出のスカウト)
5日現在、14試合に登板して8勝2敗、防御率1.79。6イニング以上投げて自責点3以内のクオリティースタートが14試合中、12回もある。投球回数は85回3分の2で規定(90イニング)に達していないとはいえ、サイ・ヤング賞級の活躍を見せているのは身を削る投球を続けているからこそ。「上腕二頭筋の違和感」が生じた大谷の今後が心配にもなってくるのだ。
大谷は6日のパドレス戦に「1番・DH」でスタメン復帰。
相手の先発左腕シアーズに対し、第1打席はフルカウントから150キロの直球に手が出ず、見逃し三振に倒れた。
試合前に会見したロバーツ監督は「トレーナーの報告では違和感や症状はない。本人もいつも通りの状態に戻ったと話していた」と説明した。


















