「猫の王」小島瓔禮著

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「猫の王」小島瓔禮著

 猫は、身近なペットであるとともに、招き猫のように信仰の対象であったり、化け猫のように怪異な魔物として昔話に登場したりしてきた。それはペットとしての人懐こさと、猛獣としての激しさを併せ持つ猫の行動の観察から、人間が勝手に自分たちの心を投影してきたものである。

 本書は、そうした猫に関する精神文化が生まれてきた背景を解き明かす民俗学テキスト。

 熊本県の阿蘇五岳のひとつ根子岳(猫岳)には、「猫の王」の言い伝えがある。猫岳には猫の王がすみ、節分の夜には周辺の猫がみなこの山に集まるというもの。猫に社会があり、猫の王がいるというこの観念は、国内各地だけでなく、イギリス諸島にもあるという。

 以降、古今東西の膨大な文献を読み解き、猫の怪異と魔性の伝説の謎に迫る。 (KADOKAWA 1914円)

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