「荒れ地の種」江上剛著

公開日: 更新日:

「荒れ地の種」江上剛著

 荒波町の矢吹酒造所の8代目の光は、2011年に巨大地震が東北地方を襲ったとき、近所の少女、智花を救えなかった。酒米を作っていた農家の一家が津波にのまれ、酵母も蔵も失い、光は酒を造る意欲を失った。

 12年後、娘の凪子が、米沢の人が「福の壽」がなければ荒波町は復興しないと言っていたと光に話した。あれは究極の「テロワール」だと。テロワールとはその土地の風土が育んだ酒だ。智花が酒蔵の匂いが好きだと言っていたと聞いて、光の心は揺れる。ある日、見知らぬ若者が訪れて「一緒に酒造りをさせてください」と頼みこむ。

 壊滅した福島の酒を造るために立ち上がった人びとの物語。 (光文社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  4. 4

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  5. 5

    timelesz篠塚大輝“炎上”より深刻な佐藤勝利の豹変…《ケンティとマリウス戻ってきて》とファン懇願

  1. 6

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”女性議員ついに書類送検! 野党支持率でトップ返り咲きも玉木代表は苦悶

  3. 8

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  4. 9

    波瑠のゴールインだけじゃない? 年末年始スクープもしくは結婚発表が予想される大注目ビッグカップル7組総ざらい!

  5. 10

    アヤックス冨安健洋はJISSでのリハビリが奏功 「ガラスの下半身」返上し目指すはW杯優勝