「幸あれ、知らんけど」平民金子著

公開日: 更新日:

「幸あれ、知らんけど」平民金子著

 以前、東京都副知事だった頃の猪瀬直樹が、車が通っていないのに横断歩道で信号を守っている歩行者を、「個人の決断がない」とSNSに投稿した。だが、それは誰も見ていなくても自分の行動を規定するほどの存在を意識しているかどうかを問う問題である。そういう何かに見られているような感覚こそが信仰の源泉なのだろうか。

 朝、登校する児童の列に「行ってらっしゃい」と言っても子どもには無視される。子どもは大人など眼中にないと意識すると、不思議に心が安らぐ。10代だった著者に祖母が書き残した「ただ幸あれ」という言葉の「ただ」の意味を、いつも梅の咲く季節に思う。

(「『ただつっ立っている』意味」)

 家族や町などにまつわる、記憶に残ることを記した61のエッセー。 (朝日新聞出版 1870円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網