「地上の楽園」月村了衛氏

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「地上の楽園」月村了衛氏

 戦争の荒廃から目覚ましい復興を遂げ、人々の平等を実現した“地上の楽園”と喧伝された北朝鮮。希望に満ちた約9万3000人もの在日朝鮮人と家族の「帰還事業」が始まったのは、1959年のことだった。骨太な作品で知られる著者の新作は、この禁忌ともいえる史実をもとにした、重厚な物語だ。

「出版社から“楽園”というキーワードを提示されたのが執筆のきっかけで、真っ先に浮かんだのが今回の題材でした。ただ、あまりにも重い内容になることは予想できたため、描きたくないという思いも同時にあり、ラブコメの企画案も一緒に提示していたんです。しかし、作家として今取り組むべきはどちらかと自問し、覚悟を決めました」

 物語の舞台は1959年の大阪。差別や貧困から、在日朝鮮人の間で「帰還事業」への期待が高まっていた。本作は3部構成で、第1部の主人公は日本の高校に在籍する孔仁学。日本人ジャーナリストが北朝鮮を礼賛したベストセラーを読んだことで、帰還事業に傾倒していく。

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