「地上の楽園」月村了衛氏

公開日: 更新日:

「執筆に際しては多くの参考文献を読み込むタイプですが、今回ほどキツかったことはない。日本社会で辛酸をなめた在日朝鮮人が、北朝鮮でさらに苛烈な地獄の日々に突き落とされる。気がめいる一方でしたが、初めて知ることが多く、執筆のモチベーションになりました」

 仁学は、日本で苦しむ同胞たちを救いたい一心で活動に奔走。若い世代の希望の星として代表団にも参加し、けがで失職した兄や、ヤクザの抗争に巻き込まれていた親友の玄勇太とその家族を第1次帰還船に乗せる。しかし、しばらくして帰還者が送ってきた手紙に、『ここはじごく ぜったいに くるな』という文字が隠されていることを知り、愕然とする。

「もっとも衝撃だったのが、事業を推進した超党派議員連盟の共同代表が、小泉純一郎元首相の父親の小泉純也氏だったことです。帰還事業は、労働力が欲しい北朝鮮と、“厄介払い”したかった日本政府によって行われたもので、日本のマスコミもこれを扇動した。その結果、帰還者の身に起きたことに対し、加担者が誰も責任を取っていないことに、驚きと怒りを覚えます」

 小泉元首相の電撃訪朝を記憶している人は多いだろう。しかし当時、この「帰還事業」という歴史は報道されただろうか。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  2. 2

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  3. 3

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  4. 4

    鈴木紗理奈以外にもいた…あのちゃんが過去に口にしていた“キライな芸能人”の実名

  5. 5

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  1. 6

    日本ハムがソフトBに8戦全敗の悲惨…崩壊投手陣が口にする「伏見寅威ロス」

  2. 7

    元サッカー日本代表・大津祐樹さんはビジネスでも成功 年商300億円の高級腕時計会社の社長に

  3. 8

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  4. 9

    DeNAビシエド電撃引退のウラとフロント批判殺到の必然《もうハマスタに行こうとは思わない》

  5. 10

    文科省「教育の政治的中立性」で波紋…なぜ森友学園がセーフで、同志社国際がアウトなのか?