「地上の楽園」月村了衛氏

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「執筆に際しては多くの参考文献を読み込むタイプですが、今回ほどキツかったことはない。日本社会で辛酸をなめた在日朝鮮人が、北朝鮮でさらに苛烈な地獄の日々に突き落とされる。気がめいる一方でしたが、初めて知ることが多く、執筆のモチベーションになりました」

 仁学は、日本で苦しむ同胞たちを救いたい一心で活動に奔走。若い世代の希望の星として代表団にも参加し、けがで失職した兄や、ヤクザの抗争に巻き込まれていた親友の玄勇太とその家族を第1次帰還船に乗せる。しかし、しばらくして帰還者が送ってきた手紙に、『ここはじごく ぜったいに くるな』という文字が隠されていることを知り、愕然とする。

「もっとも衝撃だったのが、事業を推進した超党派議員連盟の共同代表が、小泉純一郎元首相の父親の小泉純也氏だったことです。帰還事業は、労働力が欲しい北朝鮮と、“厄介払い”したかった日本政府によって行われたもので、日本のマスコミもこれを扇動した。その結果、帰還者の身に起きたことに対し、加担者が誰も責任を取っていないことに、驚きと怒りを覚えます」

 小泉元首相の電撃訪朝を記憶している人は多いだろう。しかし当時、この「帰還事業」という歴史は報道されただろうか。

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