「怪人」と呼ばれた伝説の審判員は“元プロボクサー” 超オーバーアクションでテレビ、CMにも引っ張りだこ
「ストラッキー!!(ストライク)」
そんな奇声とともに、ジャンプしながらのジャッジ。時には回し蹴り、ワンツーパンチも繰り出すオーバーアクションだった。元パ・リーグ審判員、露崎元弥のジャッジスタイルに、「なんや、アイツは」「ふざけてんのか」と選手たちから怒声が上がった。だが、抗議は口だけ。なぜなら、露崎の前歴はプロボクサーだったからだ。
「なんでストライクなんだ」「あれがボールか」
抗議に対しては平然と「半紙1枚分の差だよ」と相手にせず、こう言われた選手たちはぐうの音も出なかった。
波瀾万丈という生きざまだった。1928(昭和3)年6月、中国の吉林省で生まれ、育ちは大連。ここでの中学時代は番長クラスのつわもの、スポーツ万能だったという。野球、空手、柔道にバスケットボール、マラソン……。日本に戻って兵役に就いた。広島・呉の特殊潜航隊で敗戦を迎え、寸前で特攻から逃れた。敗戦処理の機雷拾い。生死の境を生きてきた。
親類のいる京都へ流れて、プロボクシングの道へ。全日本ライト級3位までのし上がった。その後、博多の映画館に勤めていたところ、米軍キャンプから「体育教師」のオファー。余暇に野球の審判を務めていた姿が関係者の目に留まり、63年にパ・リーグの審判員に採用されて、プロ野球の世界へ進んだ。


















