米国の不都合な真実を映す 映画「ボーダーライン」の迫真

公開日: 更新日:

 あらゆる業界同様、映画界にも流行がある。昨年は007シリーズの新作をはじめスパイ映画が多数公開されたが、今年はメキシコ国境問題など麻薬に関連する映画が集中している。

 たとえばメデジン・カルテルを興した麻薬王の娘とのスリリングな恋を描く「エスコバル/楽園の掟」(公開中)。オスカー監督キャスリン・ビグロー製作によるメキシコ麻薬戦争のドキュメンタリー「カルテル・ランド」(5月7日公開)。さらにリドリー・スコット監督も、メキシコ麻薬王の伝記映画の製作を進めている。

 そんな中でも現代アメリカの抱える闇を暴いたとして高く評価されているのが「ボーダーライン」(公開中)だ。その魅力と時事性の高さについて、映画批評家の前田有一氏はこう語る。

「似たテーマの映画が同時期に重なるのは、それだけ今の米国人にとって深刻な社会問題ということです。本作は劇映画ながら、メキシコ麻薬戦争に対して米国政府がひそかに法を無視した暴力で対応していることをにおわせるなど、表立っては報道されにくい現地の状況を描いています。カナダの誇る名監督ドゥニ・ヴィルヌーヴだからこそ、米国にとっての不都合な真実にも突っ込めたのではないでしょうか」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー