映画「108」鬼才・松尾スズキの強烈“大暴走”に拍手喝采

公開日: 更新日:

 松尾スズキ演じる売れっ子脚本家は、元女優の妻・綾子(中山美穂)の浮気を、彼女自身のSNS投稿で知ってしまう。だが離婚すれば資産の半分を持っていかれると聞かされ、ヤケクソで全預金1000万円を使い切るため、彼女についたイイネ!の数と同じ108人のオンナを抱くことを誓う。

 映画は妻への嫉妬と復讐心から、カネの力で若い女を抱きまくる主人公の狂騒ぶりを、18禁らしく自粛ナシ、ボカシ修正アリの激しいエロ描写で描いていく。さらには唐突なミュージカルシーンやホラーじみた暴力場面を矢継ぎ早に繰り出し、ジャンルを超えた暴走を始める。主役として出ずっぱりの松尾氏は、それでも喜劇役者としての本領を発揮し、あくまでコメディーとしての軸を最後までぎりぎり維持してみせる。

「脚本の構想は5年前だそうですが、5年前といえば、ちょうど松尾監督が20歳年下の女性と2度目の結婚をした時期。劇中で主人公は、中山美穂演じる年下妻が若い間男とセックスしているのではと疑心暗鬼になり、やがて寝取られ性癖に目覚めたりしますが、妙にリアルで生々しい。まるで監督本人とダブって見えるほどです」(前田氏)

 無難な優等生的な映画が多い中、演劇・映画界の誇る鬼才がすべてをぶっちゃけた問題作。久々に大人だけで楽しめる作品の登場だ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

  2. 2
    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

  3. 3
    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

  4. 4
    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

  5. 5
    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

  3. 8
    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

  4. 9
    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

  5. 10
    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”