著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

形容詞の危険性…安倍晋三「美しい国」とは何だったのか

公開日: 更新日:

 作家志望の青年に、「形容詞には気をつけな」とメッセージを送った。初めてそれらしきアドバイスを送ったかもしれない。講釈垂れられる物書きではないが、わたしが小説を書くとき唯一気をつけていることだ。それを間違ってしまった方は、安倍晋三前内閣総理大臣だと思う。

「おまえごときがなにを」とお叱りを受けそうだが、以前この連載コラムに書いたように、わたしは安倍さんが通っていた学校の後輩にあたる。といっても高校2年で素行不良により退学になっているので、正確には「途中まで後輩」なのだが。そのようなこともあって、やはり安倍さんは気になっていた。

 第1次政権。当時の安倍総理は声高らかに言った。

「美しい国、日本」と。

 これがすべてだと思う。国のリーダーとして、目指すべき道を「美しい」と表現するのは危うい。形容詞というのは便利だ。「たのしい」「おいしい」「かわいい」どれもそれっぽく相手に伝わる。が、実を伴わないと悲劇的な言葉だ。なにが、どう、美しいのか。安倍先輩の政治は、結局それが最後まで読者に伝わらずに終わった小説に思う。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 2

    NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

  3. 3

    永野芽郁が“濡れ場あり”韓流ドラマで「セクシー派女優転身、世界デビュー」の仰天情報

  4. 4

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  5. 5

    海星・陣内優翔は長崎県初の“完全男”だが…スカウトが「上位獲得」を渋るワケ

  1. 6

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  2. 7

    綾瀬はるか3年ぶり主演ドラマ「ひとりでしにたい」“不発”で迎えた曲がり角…女優として今後どうする?

  3. 8

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  4. 9

    長崎を熱狂させた海星・酒井圭一さんが当時を語る…プロ引退後はスカウトとして大谷翔平を担当

  5. 10

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩