長州力と前田日明 “コワモテの2人”なぜYouTubeで人気に?

公開日: 更新日:

 プロレス黄金期の80〜90年代に数々の名勝負を繰り広げ、スター選手として活躍。その後引退したプロレスラーたちが現在、YouTubeで脚光を浴びている。

 アントニオ猪木(78)、谷津嘉章(64)、高田延彦(58)、蝶野正洋(57)、獣神サンダー・ライガー(56)といった名前が挙がるが、なかでも、その代表格が業界きっての実力、スター性、そして、怖さを兼ね備えていた長州力(69)と前田日明(62)の2人だという。

 長州力の「RIKI CHANNEL」はチャンネル登録者数15.5万人、前田日明の「前田日明チャンネル」は13.9万人(ともに2月17日現在)と、登録者数が100万人以上もいるトップユーチューバーに比べると見劣りする。

 だが、現役時代には見せなかった素の表情、丸くなった様子がYouTubeで見られることで、古くからのファンは驚きとともに新鮮さを感じ、現役時代を知らない世代にとってもコンテンツとして単純に面白いというのだ。2人の動画は選手時代の話より、どちらかというとそれぞれの日常や趣味にフォーカスしたものが多く、それも人気の秘訣だという。

 例えば、総合格闘技イベント「RIZIN」だけでなく、ユーチューバーとしても活躍する兄・朝倉未来、弟・朝倉海の兄弟は、全国の不良を集めた前田主催の格闘技イベント「THE OUTSIDER」出身。前田はいわば、2人の生みの親といわれている。この2人とのコラボ動画をきっかけに前田のチャンネルに流れている若い視聴者も少なくない。

ニンニクたっぷりの料理動画

 前田と朝倉海のコラボ動画が好評で、特に話題になったのが2人で東京・秋葉原のメイド喫茶に訪れたときの動画だ。朝倉海のKAI Channelの動画「【神回】前田日明にオタクの格好をさせてメイド喫茶に連れていったら大変なことになった」は、現在128万回以上再生されている。タイトルの通り、海とともにオタクの格好をした前田がメイドの女の子に適度にイジられながらもお得意の下ネタで切り返し、初体験のメイド喫茶を満喫している回だ。

「これがあの前田日明か」と古くからのファンが、この動画に驚いたのはいうまでもないだろう。

 YouTubeにはまだ怖かった時代の前田がとにかく怒り狂っている様子の動画がアップされている。なかでも、格闘技ファンの間で有名なのは、小池栄子の夫として知られる元格闘家の坂田亘氏が、前田が旗揚げした団体「リングス」に所属していた若手当時、不甲斐ない試合をしたのに対して前田が容赦なく鉄拳制裁をしている様子が収められている動画だろう(現在は消去されている)。

 過去と現在の前田の落差にファンはとにかく驚いた。メイド喫茶の回を企画した朝倉海に対しては、「よく前田にこんなことさせられたな」、「昔を知らないからできたこと」、「これを前田さんにやらせられる海はすごい」などがコメント欄に寄せられ、好評だ。

 前田は、デビューした新日本プロレス以降、第1次、第2次UWF、リングスなどを旗揚げし、アントニオ猪木、佐山聡などとともに、現在の総合格闘技ブームの礎を築いたうちの1人でもある。その一方で、業界屈指の趣味人として知られ、若手時代から読書家で、他にも日本刀、葉巻、ウイスキーと幅広く、リングス時代にはソ連から強豪選手を数多くリングにあげるなどしていたことからロシア通の一面も。

 コレクションしているスコッチウィスキーのオールドボトルの解説動画では豊かな知識と自らの体験を披露し、ニンニクの使用量が半端なく多い料理動画はキラーコンテンツになりつつあるという。

 他にも、プロボクシング亀田三兄弟の父、亀田史郎氏とのコラボ動画「前田日明と亀田史郎の西成放浪記」も話題に。亀田氏の地元、大阪・西成を2人で練り歩き、昼から酒場に繰り出し、途中、ドッキリが仕掛けられる動画は、テレビではなかなかお目にかかれない面白さがある。

 さらに、10代のときやんちゃで鳴らした前田と亀田父のコンビは、ミナミのぼったくりバーに変装して潜入。カツラにサングラスとメガネという不自然な格好の2人は、1人3000円ぽっきりというキャッチの誘いに乗って入店。まんまとぼったくられるのに成功。その後、お約束のどんでん返しが起こるこの動画、「亀田史郎&前田日明ぼったくりBARで変装解除!!」(亀田史郎チャンネル)は有吉弘行も絶賛し、300万回以上再生されている。

長州は三ツ矢サイダー好き

 一方の長州は、専修大学時代にミュンヘンオリンピック出場したアマレス出身のエリートとしてプロレス入り。ファイトだけでなくその言動の激しさでもファンを魅了した。

「キレてないですよ」といった長州の特徴を捉えるモノマネを、くりぃむしちゅーの有田哲平や長州小力といった芸人がをするようになったり、滑舌の悪さをいじられるようになったのをきっかけにテレビ出演の機会が多くなった。

 最近では、お笑いコンビ千鳥のバラエティー番組「相席食堂」(朝日放送テレビ)で長州が旅人をした際の「食ってみな、飛ぶぞ!」といったヤバめな発言や、ツイッターで#(ハッシュタグ)を「井」と取り違え、ハッシュドタグといい間違える天然ぶりがウケてバラエティー番組のほか、有楽製菓「ブラックサンダー」などCMに引っ張りだこになり、さらに露出が増えた。今クールの長瀬智也主演、宮藤官九郎脚本の金曜ドラマ「俺の家の話」(TBS系)にも本人役でレギュラー出演。

 YouTubeでは、マネージャーを務める娘婿とのやりとりなど、長州の日常が動画になっていることが多く、企画ものが多い前田とは対照的だ。事務所に送られてきた好物の三ツ矢サイダーをいつまでたっても自宅に届けにこない娘婿にボヤく一方、ボヤかれながらも一向に届けない娘婿のやりとりはネタかと思うほど、終わりなく続く。

 また、天龍源一郎、武藤敬司、古舘伊知郎などとのコラボ動画も人気だ。コロナ禍では自宅の屋上と思われる場所での収録が多く、マイペースさが長州動画の特徴のようだ。

 パイプ椅子を手に暴れまくる新日本プロレス時代の動画がYouTubeにアップされていて、ファンにとっては前田同様、長州もかつては怖いレスラーの1人として記憶に焼きついている。激しくて怖い2人に熱狂した身としては丸くなった姿を複雑に思う一方、YouTubeで再び黄金期を迎えそうな2人には期待しかない。

(取材・文/小橋ケースケ)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新の芸能記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋篠宮家の眞子さまは一時金1億5000万円では生活できない

  2. 2

    「ボス恋」上白石萌音“高視聴率ヒロイン”定着に必要なこと

  3. 3

    眞子さま婚約破談の危機 問題の400万円をなぜ誰も処理せず

  4. 4

    「トゥナイト」で人気の高尾晶子さんはボートレースの顔に

  5. 5

    首都圏“宣言”解除に暗雲 都が積極的調査で陽性掘り起こし

  6. 6

    「ボス恋」成功は上白石萌音の魅力を最大限に生かしたこと

  7. 7

    吉本“粛清”ターゲットの大本命は加藤浩次よりキンコン西野

  8. 8

    「国際大会は分散開催でしか生き残れない」運営の専門家が提唱

  9. 9

    菅田将暉に月9主演が浮上 大河と映画3本で体調は大丈夫?

  10. 10

    桑田コーチ補佐の「指導力通信簿」は戸郷の“一本立ち”次第

もっと見る