パックンが振り返る家族全員コロナ感染 痛感した隔離の難しさ戸惑い、そして得た教訓

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 今年8月、新型コロナウイルスの陽性と診断されたパックンこと、パトリック・ハーランさん(50歳)。14歳の長男の発熱を皮切りに、4日後には妻が陽性、さらには自身と12歳の長女が続き、1週間後には4人の家族全員が感染した。その後、3週間にわたる自宅療養生活を送った。

■「麦茶が飲みたい」とLINEで連絡を取る

「当時、東京都の感染者数がピークでしたから、保健所から自宅療養を指示されました。どちらにしても子どもを1人でホテル療養などに出すのも不安ですから、10代以下の子どものいる家庭は重症でなければ自宅療養を選ぶと思います。息子は軽症でしたが、40度以上の発熱がありました。1階の使っていなかった部屋に息子を隔離していましたが、苦しそうな声が聞こえても、近くから看病できないことがつらかったです。熱が下がるまでは食事が取れないし、1時間おきくらいに『喉が渇いた。麦茶が飲みたい』とLINEの通知が鳴るので、1.5リットルの麦茶、そして交換用の氷枕を部屋の前に届けていました。看病といっても、それくらいしかできませんでしたね」

 最初のうちは、「濃厚接触者」の残り3人が2階で過ごしたという。トイレは各階にあったので分けられたが、問題はお風呂。息子が入浴する際は自宅のすべての窓を全開にし、使ったタオルや着替えはすぐに洗濯機に入れて洗ったという。

「室内でもマスクで過ごし、息子が入浴時に通ったり、触ったような場所はアルコール消毒しました。もともと、感染予防として玄関や食卓、洗濯機、お風呂場、トイレなど各部屋に消毒液を置いていましたし、パジャマの着替えなどはポリ袋に入れてドアの外に置くなどしていましたが、一般家庭での徹底した隔離の難しさに直面しました」

■感染した時に備えて、近所の家族と“協定”を

 4日後にはPCRを受けた妻に陽性が判明。あえなく、息子と同部屋に隔離となった。

「息子の症状が落ち着いてきたので、逆に息子が妻の氷枕を取り換えたり、看病をしてくれました。結局、その後に娘も僕も陽性の反応が出ました。家族の中で僕の場合はほぼ症状がなかったので、食事の準備などはできましたが、買い物ができないのが困りました。保健所からは乾麺やレトルト食品といった保存食をたくさん送ってもらったので、お肉や野菜など少し日持ちする生鮮食品を宅配で取り寄せました。友人が箱いっぱいの野菜を送ってくれたり、差し入れも助かりました。また、2軒隣の家族とは仲が良かったので、『万が一、コロナに感染したら助け合いましょう』と話していたんです。処方箋をもらったので代わりに薬局に行ってもらったり、のど飴とか買い出しもしてくれました。近くに住む親しい方と“協定”を結んでおくのは大事ですね」

「誰が持ち込んだか」は今は話題にしていません

 パックンが一番困ったのは、陽性が判明したときの戸惑いだという。

「外にも出られないし、家族の症状や生活がどうなるのか、不安と焦りでパニック状態になり、冷静でいられなくなる。だから防災グッズのように自宅療養の準備をしておくことをおすすめします。いつ誰が感染してもおかしくないですから、家族全員分の備えがあれば、親は冷静に子どもの看病に対応できます」

■家庭内のネット環境も見直した方がいい

 家庭内隔離生活で気を付けることもある。

「ドアのできるだけ近くに布団を敷いておくことですね。熱があると体がしんどくて動けず、部屋の前に置いた食事などを受け取るのも一苦労ですから。また、自宅ではLINEで連絡を取り合っていましたが、ネット通信が悪くなったことがあって、あの時は困りました。ただでさえ、ゲームや動画を見たり、携帯を触る機会が増えます。お子さんが小学校低学年や幼稚園児なら、常に様子を見られるようにビデオチャットをONにしておくことも考えた方がいいでしょう。Wi-Fi環境も見直しておいた方がいいです。もうひとつの後悔としては、息子は体質もあって発熱しやすかったので、最初は病院で『いつもの症状でしょう』と診断されたのです。ところが、解熱剤が効かなかった。後になって自費でも、PCRを受けさせればよかったと思いました。子どもはよく風邪をひくものですから『まさか』と思ったんですね。ただ、感染ルートは無症状の自分がうつしたかもしれないし、家族では『誰が持ち込んだか』については今も話題にしていません。感染してしまったら、原因よりも家族で励ましあって乗り越える意識が大切です」

 もっとも、悪いことだけではなかった。

「反抗期の息子も自分のケアはもちろん、体調がよくなってからは自主的に母親の看病をし、成長したなと感じました。僕も娘とパズルしたり、部屋でできるオリジナルゲームを考えたりコミュニケーションは深まりましたね。家族全員の感染が分かってからは、4人でUNOをしたり、じっくり会話を楽しんだりできました。幸いにして家族に持病がなかったせいか、重症化はしなかったのですが、やはり家族全員がダウンするのはつらいこと。ウイルスを持ち込まないことが大事です。今も学校や仕事先でのソーシャルディスタンスやマスク着用、手洗いなどの徹底は家族で意識してやっていますね」

 理知的に話すパックンだが、どこかホッとした様子がうかがえた。

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