MLBはなぜNPBの9倍稼げるのか…放送権だけじゃない公設民営“球場改革”のビジネスモデル
【Q】2024年シーズン、MLBの売り上げは約1兆8800億円。一方、NPBは推計2000億円と、9倍以上の差がある。前回の講座では放送権収入に格差があることがわかった。それ以外の要因はなんですか?
【A】経済力そのものの違いも無視できません。日本は「失われた30年」と言われるように、バブル崩壊以降、経済成長が長く停滞してきました。
一方、米国はこの30年でGDPは約3倍に膨らみ、人口も私が最初に渡米した1994年には約2億6000万人だったのが、今や3億5000万人。不法移民を入れると3億7000万人にも達する。この圧倒的な経済規模と市場の厚みが、そのまま野球興行のスケールの違いにつながっています。
前回も述べた通り、MLBの総収入のうち約35%は放送権料。そして、もうひとつの柱であるチケット収入も同じくらいで約6580億円にのぼります。
NPBではチケット収入は総収入の約半分、推定1000億円程度。
チケット収入の差を生んだ大きな要因がMLBの「球場改革」です。