(3)高額なAI支援の診断と治療の多くは公的保険適用外
医療機器としてのソフトウエア(AI-SaMD)の登場で、私たちはより確実で安全な医療を受けられるでしょう。しかし「誰がその費用を担うのか」と聞かれたら、返事に困ってしまいます。AI-SaMDは、それぞれ目的に応じて開発されているため、かなり高額です。
画像診断に関しては、前回説明したように「画像診断管理加算4(ないし3)」という項目で、公的健康保険の対象になっていますから、病院は費用の回収をある程度見込めます。しかし他のAI-SaMDも、これから順調に公的保険適用になるかは分かりません。
たとえば内視鏡用のAIですが、ベテラン医師をサポートして胃や大腸の診断精度を高めることが分かっています。
しかし、公的保険が適用されるのは「大腸がんの内視鏡手術(大腸ポリープ・粘膜切除術)における病変確認」に限定されています。胃ははじめから対象外ですし、大腸でも単なる検査は対象外。しかも保険点数はたったの60点(600円)です。内視鏡用SaMDは1セットで数百万円もしますから、病院がよほど頑張っても元は取れません。