ジャニーズ事務所は存続、株は手放さず…新社長お披露目&決意表明の“茶番劇”で逃げ切りなのか
「テレビ局は共犯者、検証番組を作るべき」と識者
会見後に垣間見せた安堵の表情について、マスコミからは「一度、会見を開いてサンドバッグになればメディアからの批判も弱まる。吉本興業の闇営業問題のときの社長会見を彷彿とさせます。これで禊は済んだと思っていることでしょう」という声も漏れた。実際のところ、会見日程を長引かせ、登壇者の発表もないまま実施した会見で発表になったのは社長のクビのすげ替えだけで、ジュリー氏は100%株主として事務所に君臨し続ける。公の場で性加害の事実を認めて謝罪はしたものの、被害者の「救済措置制度」の具体案もこれから。東山新体制の構築もこれからの話。東山新社長のお披露目と決意表明という茶番劇が会見の全てであった。
■経営全般を外部に任せ、健全な会社にすることが第一
元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏はこういう。
「謝罪は前社長の藤島ジュリー氏、新社長の東山氏が今後の方針について会見するのが筋。スターの東山さんの謝罪と芸能界引退で“東山さんがかわいそう”という印象にすり替えて留飲を下げ、問題を解決したかのように見せているが、何も解決していない。ジャニーズ事務所の問題は性加害だけでなく、自社のタレントを有利に扱うよう、同業他社に圧力をかけたり、メディアを懐柔してきたことなど、まともな経営を行ってきていなかったこと全てです。東山さんは一般企業の労働組合の委員長のような、所属タレントの代表として経営陣と交渉すべき立場になるならまだわかりますが、東山さんが適任なのかははなはだ疑問。ジャニー喜多川氏の噂を見聞きしながらスルーしてきたということは加害者の一端を担っていたともいえる。東山さんは来週からキャスターも降板するというのも、彼をキャスターとして信用していた視聴者をないがしろにしている。最後に自分の口で謝罪を述べてから番組を降りるのが誠意ではないでしょうか。経営全般を外部の専門家に任せ、健全な会社にすることが第一だと改めて自覚すべきだと思います」
■沈黙という形で加担
同志社女子大学の影山貴彦教授(メディア論)はこう話す。
「タレントの東山さんが前に出ることでメディアの攻撃の矢が弱まり、論点がぼやけてしまった、ある意味けむに巻いた会見だった。自分のタレント生命をなげうってでも“ジャニーズ”を守るという心意気は感じますが、本来、東山さんはステージに立つ側の人ですから、本音は忸怩たる思いだったのではないでしょうか。そもそも求められているのは経営陣が一新すること。藤島ジュリー氏が取締役として残らなくても補償についてはできるだけに、院政といわれて否定する要素は見当たらない。また。メディアも各局生放送をして“禊を終えた”“これで原状回復できた”としてはならない。沈黙という形で長年ジャニー喜多川氏に加担してきた共犯者ですから、どうして誤っていったのか、各局で検証番組を作るべき。もしくはチャンネルを超えて全局で制作してもいいでしょう。それが視聴者に対する誠意であり、健全なメディアに立て直すために必要だと思います」
このままジャニーズに“逃げ切り”を許してはならない。