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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

「何者か」じゃなく ロングコートダディ兎が「俺自身」でいたいと思えるようになったワケ

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 兎は、何組か組んでは別れを繰り返す中で、堂前と出会った。お互い、増田こうすけの漫画「ギャグマンガ日和」が好きだったことから意気投合。兎は周囲より自分が面白くないことが分かり心が折れて、地元・岡山に帰ろうと思っていたときに、堂前に誘われてコンビを結成した(吉本興業「月刊芸人」21年5月15日)。

 しかし、09年のコンビ結成から4年目を迎える頃だ。オーディションバトルの結果が振るわなかったことと、先輩芸人が後輩100人ほどを集めて海に旅行へ行った際、まったく馴染めなかったことが重なって、兎は再び心が折れた(同前)。堂前に解散を持ちかけたのだ。

 だが、兎は1カ月ほどで後悔した。お笑いが「むちゃくちゃやりたく」(同前)なったのだ。けれど、自分で言った手前、言い出しにくい。そんなとき背中を押したのはやはり周りの友人だった。「絶対に言うべきだ、言って断わられてもいいやん」と言われ、4カ月後、再結成を提案したのだ(同前)。

 当時は「周りと自分を比べ過ぎてた」と兎は振り返る。「だからもう人と比べるのは辞めよう」と思い直した(「Woman type」=前出)。何より、堂前は誰よりも兎という人間を面白がってくれる。だから兎は「『何者かになりたい』とかじゃなくて、俺は『俺自身』でいたい」(同前)と思えるようになったに違いない。

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