「妊活代なんて出したくない」30代夫が“親に請求すべき”と主張するトンデモ理屈

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コクハク

30歳、俺は“タカリ夫”じゃない!

 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も。

 魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。

【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

「以前、妻から“タカリ夫”と罵られました。心外ですね。まったくもって腹立たしい! だって、俺がカネで甘えているのは自分の母親と妻の両親だけ。

 他人様に甘えたことは一切ありませんよ。“タカリ”ってのは、他人に対してやること。親にやっている分には、“タカリ”じゃないでしょ!」

 コロナ禍までは正社員として働いていたナオトさんは、コロナ禍を機に独立しました。

 しかし現在フリーランスとして仕事をしているものの、思ったほど売り上げは順調でないと話します。

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経済的に困窮しているのは事実だけど…

「まあね。そもそも俺にはカネがないんですよ。それは事実です。独立した当初は良かったんですけど、最近ウチの業界は、ちょっと景気が悪いですね。そんなわけで、これから子育てにもお金がかかるでしょ?

 だったら、両方の実家がウチにご馳走してくれるのは当たり前。我が家にカネがあれば払うかもしれないけれど、この物価高ですからねぇ〜。なかなか厳しいモンがありますよね」

 悪びれた様子もなくあっけらかんと話すナオトさんは、自身の事業の将来にも胸を張ります。

「俺は将来必ず成功する予感しかないんですよね。だから今はうまくいっていないけれど、最終的には必ず良い方向に行きますよ。

 そこは自信があります。自慢じゃないけれど、俺にはセンスがありますから」

二人目の孫が欲しいなら負担してくれても

 その一方で、ナオトさんはタカリ呼ばわりされたことを根に持っており、妻の妊活に強い不満を抱いています。

「夫のことを“タカリ”なんて言うような妻と、二人目を作りたいって思えます? 今はまだ病院の世話にはならずセルフ妊活中ですけど、このまま妊娠しなければ恵は病院に行きたいって言っています。

 だけど病院で妊活をすればカネがかかるし、俺はそこまでして二人目が欲しいわけでもない。それこそ、二人目の孫が見たいなら両家の親が負担してくれてもいいんじゃない? って思っちゃいます。

 妊活代を親に請求しようって提案したら、恵はもっと俺にキレるでしょうね。だけど実際問題カネがないんで。妊活代なんて本当に出したくないんですよ、俺は」

母親からは割り勘を打診されたけど…

 妻が5歳年上なため、まるで母親や教員のようにガミガミと言われることもウンザリだと話します。

「けっこうストレス溜まるんですよ、恵との結婚生活は。恵が口うるさい性格ですからねえ。それでたまにパーっと酒が飲みたくなるんですよ。でもカネがないから親を誘って外食に行くって感じですね。

 まぁぶっちゃけた話をすると、ウチの母親からも一度だけ『せめて割り勘にしない?』って言われましたけど。『俺の周りは、みんな親持ちだよ』って言い返したら、それ以降何も言わなくなりましたね」

 仕方ないですよ、今の我が家はカネが余っているわけじゃないんで。それなのに恵は、キャンキャンわめきすぎなんですよ」

 恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。

 まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

(並木まき/ライター・エディター)

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