学校の検診で病気が見つからないのは当然

公開日: 更新日:

 東京近郊の住宅街で耳鼻科医を開業しております。近くに小学校があるため、そこの校医もしています。耳鼻科検診で、何百人の子供たちを診るのですが、その子たちが私の医院の患者さんになることは、ほとんどありません。

 なぜなら、自分の病院でなら「こういう疑いがありますね」と指摘できても、学校の校医としてはハッキリと言えないからです。

 その理由の第一は、時間がないこと。流れ作業で診るため、よほどハッキリしている、命に関わる病気なら別ですが、「疑い」程度では指摘することはしていません。医師としても、自信を持って「この病気です」と断言はできません。

 ある子供に対しヘタに「○○病の疑いがあります」などと言おうものなら、同じような症状の児童全員に言わなければならなくなり、結果的にそうした子供の多くは私の病院に通うことになります。そうすると、「○×先生は校医をいいことに患者集めをしている」「大げさに言っている」といった悪評が立ってしまいかねません。

 第二に、今の学校の検診は“病気を見つける場”ではないからです。あくまでも検診は、“集団生活の障害になるような病気”を探す場であって、個々の病気を発見する場ではないのです。もっと言えば、学校側が期待しているのは、夏に開かれる学校のプールに入れる子供かどうかを見極めたいだけなのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁