著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

頭痛を伴う高血圧の患者は長生きするのか

公開日: 更新日:

 高血圧は生活習慣病の代表です。大きな自覚症状がなく、何かの機会に血圧を測定して初めて高いことが分かる――というケースが多いようです。

 その高血圧でときどき見られる症状が頭痛です。頭痛があると、それが心配で医療機関を受診するという方も多いと思います。

 それでは、頭痛と高血圧との間には、どのような関係があるのでしょうか? 血圧が急激に上昇すると、頭痛や肩凝りなどの症状が出ることがあります。こうした頭痛は高血圧を治療することにより改善することが多いといわれています。

 まれに、重症の高血圧で脳症と呼ばれる脳の腫れ(むくみ)を起こしたり、くも膜下出血という脳出血を起こすと、それまでに経験したことのないような強い頭痛が起こることがあります。ただ、それ以外の多くの頭痛と高血圧との間には、あまり強い関係はないのです。

 今年の高血圧の専門誌に発表されたフランスでの研究では、「高血圧で頭痛のある人は、何も症状のない人より長生きだった」というびっくりするような結果が報告されています。病院で30年間、患者さんを観察した結果ですが、どうやら頭痛があると、患者さんは高血圧をより「病気」として認識して、生活の改善にも気を使うようになる。その結果として、高血圧の合併症を起こしにくくなるようです。

 一病息災というのは、こうした場合にも当てはまることのようです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」