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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

4人に3人は痛いがんの骨転移 8割は放射線でよくなる

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 同じ日のブログには、「痛み止めの量を増やしても、また痛みが増してきたり」「コントロールができているときはとても穏やかな気持ちでいられる」とありますから、痛みのコントロールに難渋しているようです。

 厄介な骨転移の痛みに効果的なのが、放射線治療です。症状緩和のための放射線治療は、腫瘍による気道狭窄(呼吸困難)や消化管狭窄(食べ物の通過障害)などいくつかありますが、最も有効なのが骨転移による痛みなのです。

 がん細胞は、痛みの原因となるサイトカインという物質を分泌することが多いのですが、放射線はその分泌を抑える働きがあります。転移巣が小さくならなくても、痛みが1回の照射で消えることがあるのは、そのためです。

 治療成績は報告によってさまざまですが、3~5割は痛みが消失し、6~8割は痛みが軽くなるとされています。進行がん患者さんにとって、骨転移の痛みを軽減する放射線治療は福音となる治療法なのですが、日本ではあまり行われていないのが現実です。

 1回照射ではなく、2週間にわたって照射するケースもありますが、1回の照射にかかる時間はセットアップも含めて10分ほど。その間の安静が保てる方なら、無理なく受けられる治療法です。

「痛みは心折れますね」と漏らしているように、痛みは心を折ります。躊躇することなく痛みを取ることが大切です。痛みの治療を適切に受けた人ほど、その後の経過がいいことは医学的に示されているのですから。

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