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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

渡瀬恒彦さんのケース<下> 余命は短めに告知されることも

公開日: 更新日:

「当初よりステージ4、余命1年の告知を受けておりました」

 胆のうがんによる多臓器不全で亡くなった俳優・渡瀬恒彦さん(享年72)について、兄で俳優の渡哲也さんは、こう語っています。一連の報道によると、「当初」は診断された15年秋。そう考えると、診断から1年半を経過しての最期でしょうか。

 その報道に触れ、気になったのが、余命告知です。一般に、余命は研究結果をベースに告知されます。しかし、その研究結果自体、バラつきが少なくないのです。

 たとえば、食道がん抗がん剤と放射線を同時に使う治療を受けた後に再発した37人を追跡した研究があります。その結果だと、一番短い人は1カ月で、最も長い人は約3年でした。このような研究結果は、最長の人から数えて真ん中の人の余命を採用します。それを中央値といって、この場合は19番目に長生きした人です。その中央値は9カ月。

 その研究対象になった食道がんと同じような状態で再発した方だと、余命9カ月ということですが、結果の裏に大きなバラつきがあることが分かるでしょう。余命を「中央値」で表現することの問題がこれです。

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