著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

尿酸値が高いのは不健康なのか?

公開日: 更新日:

 健康診断などで採血をして尿酸値が高いと指摘された経験がある方は多いと思います。尿酸値が高いことで起こりやすい病気といえば「痛風」です。お酒を飲んだ後などに、足の親指の付け根などが赤く腫れて、歩けないほどの痛みが襲うのです。

 痛風は関節炎の一種ですが、尿酸値が高いと起こりやすいことが知られています。それ以外に、尿酸値が高いと「尿路結石」の原因となることも分かっています。こうした病気の人は、薬を飲んで尿酸値を下げることが病気の予防になるのです。

 それでは、痛風発作を起こしたことがなく、尿路結石のない場合でも、尿酸値が高いだけで薬を飲む必要があるのでしょうか? これは実はまだ決着のついていない問題です。最近、尿酸値が高いと腎臓病や高血圧心臓病などが多いことが報告されています。もし尿酸値が高いことが原因となって、そうした病気が起こるのだとすると、「何も症状がなくても、尿酸値は薬で下げた方が健康に良い」ということになります。

 しかし、今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという医学誌に掲載された論文によると、これまでの研究結果をまとめて解析した結果として、痛風と尿路結石以外の病気については、尿酸値を下げることによる治療効果は確認されませんでした。今のところ、尿酸値が高いということだけでは、それを病気と考える必要はなさそうです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」