著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

尿路結石はなぜ増えているのか?

公開日: 更新日:

「尿路結石」は腎臓に石ができて、それが移動するために背中や脇腹などに激痛が走る病気です。皆さんの中にも、そのつらい症状を体験された方は少なくないのではないでしょうか。

 尿路結石は、その成分によって種類があり、最も多いのはシュウ酸カルシウムの結石です。最近、その発生は増加していて、特に肥満や内臓脂肪が蓄積している人に多いのです。

 シュウ酸は、ホウレンソウ、大豆、ココアなどに含まれている成分で、ビタミンCが分解されるとできる物質でもあります。それでは、カルシウムとビタミンCをたくさん取ると、尿路結石になるのでしょうか。もちろん、大量に取ればそうしたこともあり得るのですが、普通の食事の範囲では起こりません。それなのに、なぜシュウ酸カルシウムの結石は増えているのでしょう?

 最近、「オステオポンチン」という物質が、その原因の一つではないかと考えられています。オステオポンチンは、骨を作ったり免疫に働いたりする物質ですが、多すぎると体に炎症を起こし、カルシウムなどを結晶化させる働きを持っています。尿の通り道に酸化ストレスによる炎症が起こると、そこにオステオポンチンが増加して、それが結石の原因となるのです。

 動脈硬化も同じような仕組みで起こります。尿路結石は、実は動脈硬化の仲間で、その予防には肥満や血圧、内臓脂肪のコントロールが同じように有効なのです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性