手術不能の患者に希望を与える欧米流「がんの時間治療」

公開日: 更新日:

横浜市立大学付属市民総合医療センター消化器病・田中邦哉准教授

 動物のあらゆる生体機能には、1日のうちで働きや分泌が最も高まる時間帯がそれぞれあり、時計のように規則正しいリズムを刻んでいる。それによって病気が悪化する時間帯にもリズムがある。この体内時計のリズムに着目し、最も効果的な時間帯に薬を投与して、治療効果を最大限に引き出す治療法のことを「時間治療」という。

 国内では高血圧やぜんそくなどで時間治療がすでに普及しているが、他の病気でも研究が進められている。その中でも国内で唯一、がんの時間治療の研究を行っているのが、田中邦哉准教授(顔写真)だ。

「正確に言うと、対象としているのは大腸がんが肝臓に転移した場合の“転移性肝がんに対する抗がん剤時間治療”です。私は外科医師なので、転移したがんが大きいと手術で取れません。ですから、術前に抗がん剤で極力小さくして手術することを目的に時間治療を研究してきました」

 どの抗がん剤にも、それぞれ体の代謝が最大になる時間がある。それがピークになる、副作用が出にくい時間を狙って投与することで、より大量の抗がん剤が投与できるという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も