大腸がん新知見 原発病巣は右より左の方が生存期間が長い

公開日: 更新日:

 従来は2つの分子標的薬の有効性に有意差はないとされていたことから、どちらを先に使うかは各医師の判断で決めていた。それが有効性に左右差があることが分かったことで、薬の選択がよりクリアになったという。

「大腸がんは他のがんと異なり、ステージⅣで転移していても病巣を切除できれば、予後が極めて長く延びるケースが少なくありません。ですから薬物療法の1次治療でがんをかなり縮小できれば、手術で切除できる場合があります。そのためにも大腸がんの左右差は非常に有用な情報です。RAS遺伝子に変異のない左側の大腸がんであれば、ステージⅣでも長期生存を目指せるのです」

 また、右側の大腸がんは予後が悪いことが分かっているので、最近は1次治療から最強の治療といわれる「4剤併用療法」を行う医師が増えてきているという。

 しかし、なぜ大腸がんには左右差があるのか。そもそも大腸は発生学的にも右大腸は「中腸系」、左大腸は「後腸系」と異なる由来を持ち、支配する血管も違うとされる。

「世界的にも左と右では、がん化の過程が違うという認識です。がんは遺伝子変異の塊ですが、その遺伝子変異の種類や仕方が違うということです。右原発巣では予後不良と関連がある遺伝子の変異頻度が高く、左原発巣では抗EGFR抗体の感受性に関する遺伝子の発現頻度が高いことが示されています」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ