<3>腫瘍ができにくいハダカデバネズミ

公開日: 更新日:

 なぜハダカデバネズミががんにならないのか。詳細は分かっていないが、低酸素環境でも生きられることから有害な活性酸素暴露が少ないことが想定されたり、高齢になっても異常タンパク質の除去機構の能力が高く、タンパク質合成の正確性が高いことが分かっている。

 さらに、気になるのが細胞の接触阻害能力の高さだ。正常な細胞は隣の細胞と接触するようになると、細胞周期を停止して増殖を抑制する。しかし、がんになるとこの能力が失われ、無秩序に増殖し腫瘍を形成する。

 ところがハダカデバネズミは極端に低い細胞密度で早期接触阻害を起こす仕組みがあり、それががん化を防いでいる可能性があるという。

 しかもハダカデバネズミには肌の張りや弾力のもととなるコラーゲンやヒアルロン酸などを作り出す線維芽細胞が簡単にがんを作り出せないような仕組みを備えている。

 ハダカデバネズミ特有の高分子のヒアルロン酸分泌がこうした仕組みに関わっている可能性があることが最近の研究で分かってきている。

 高分子のヒアルロン酸は細胞周期を負に制御して、炎症を抑える機能があり、低分子ヒアルロン酸は逆の働きをする。ハダカデバネズミは高分子量のヒアルロン酸を多く発現することにより、がんになりにくく、老化しにくい体をつくっているのではないか、と考えられているのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動