著者のコラム一覧
平山瑞穂小説家

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

映画の糖尿病患者は事実とかけ離れた頓珍漢なものばかり

公開日: 更新日:

 前から気になっていることを、ここでひとつ話しておこう。インスリンを使用している糖尿病患者が、映画などのフィクション作品でどう描かれているかである。

 本物の患者から見れば、的確に描かれていたためしがないと言ってもいいほど、それはしばしば誤解に満ちた描写になっている。

 たぶん、糖尿病患者は「インスリンがないと困る」「意識を失うことがある」という生半可な知識だけに基づいて描いているのだろう。メカニズムまで理解しているわけではないので、頓珍漢(とんちんかん)な描写になってしまうのだ。

 あえて作品名は掲げないが、典型的な例として、ある近未来物のアクション映画で描かれていた場面はこうである。

 外部との連絡が途絶えた閉鎖的な状況で、糖尿病患者である一人の少女が、インスリンを切らしてしまったためにぐったりしている。見かねた子供たちが、乏しい食料の中から彼女にチョコレートを差し出すと、彼女は「ありがとう」とかすかにほほ笑んで、力なくそれを口に含む。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも