著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

抗凝固薬は古い薬と新しい薬では価格差が50倍もある

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■効果や副作用をしっかり考えたうえで選択する

 一方、DOACはビタミンKに関与せずに作用するため、食事の相互作用が少ないうえ、個人差もそれほどなく安定した効果が得られます。

 そうした側面だけをみると、DOACのほうが優秀な印象を受けますが、しっかり考慮すべきポイントがあります。決定的に違うのは価格です。ワーファリンとDOACは、主たる効果は同じでも価格差が最も大きい常用薬のひとつなのです。

 ワーファリンの価格は1錠9・9円で、常用量が5ミリグラム程度です。1日3ミリグラムを服用する患者さんの場合、1錠1ミリグラムなので1日約30円、1カ月で900円です。3割負担で計算すると、薬代は月270円になります。

 かたやDOACの価格は1錠538円と、ワーファリンの50倍以上です。前述したワーファリンのケースと同じ効果を得ようとすると、1日約500円、1カ月では1万5000円となり、3割負担でも薬代は月4500円になります。抗凝固薬は他の薬も一緒に処方されるケースがほとんどなので、60日処方となると薬代だけで1万円を超えてしまうのです。

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