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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

「夢」が死の恐怖を乗り越える術になる患者さんもいる

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 この夢は深い印象を与えました。夢を「見た」のではなく「体験した」という以外に表現できないようなことだったのです。

 秘儀的な驚きと恐ろしさに魂が揺さぶられるような体験を、夢を媒介になぜしたのか。また、なぜすでにこの世の人でない昔の友が夢で道案内をしてくれたのか。川平は、朝目覚めてすぐにこれらの解明に取り組むことを激しく強いられました。そのまま放置できないほどの強い力をこの夢は持っており、そうしないではいられなかったのです。

「背を見せているだけで友人は何も言わなかった。でも言いたげであった。だから自分で解かなければならない」

 夢に強いられ、現実での作業が始まりました。 友人は画家でした。友人が伝えたかったことは何か。手がかりを求めて、友人の作品の写真を集めました。一作だけ、真作が身近にありました。その画からはメッセージを発見できませんでした。しかしその画の下に、全く異なる絵が見つかりました。真作の下に潜んでいた描きさしは、「ピレネー山」の画でした。 「ピレネー」と言えば、川平は個人的に一つの強いイメージを抱いていました。青年期の愛読書の一つに、ヴァルター・ベンヤミンの著作がありました。ユダヤ人ベンヤミンはナチスに追われ、仲間とともにピレネー越えを敢行しますが、途中で追いつかれたと思いすごし、絶望のあまり生還の可能性を自ら捨て、自分から命を絶ってしまいます。しかし、希望を捨てなかった仲間はピレネー越えを成功させました。

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