ブタの力でヒトの腎臓を作る 再生医療技術はここまできた

公開日: 更新日:

 ニッチはいわば臓器の“赤ん坊”を育てる“保育所”のような場所。簡単に言えば、臓器が作られる場所を別の動物から借りるというわけだ。

 これを人の腎臓再生に置き換えると、手順はこうなる。まず、ヒトiPS細胞から腎臓の“芽”となるネフロン前駆細胞へ分化誘導する。それを動物のニッチに注入するわけだが、人間と同じくらいのサイズの動物でないとダメ。

 そこでブタの胎仔(3センチくらい)のニッチを使う。ニッチはどこにあるかといえば、1ミリほどの腎原基という細胞群の中。その腎原基を顕微鏡下で取り出して、ネフロン前駆細胞を注入する。

 しかし、疑問がある。ブタの腎原基のニッチ内には既存の前駆細胞があるはず。混ぜてしまっていいのか。

「普通のブタの腎原基にそのまま注入してしまうと、2系統の前駆細胞からできたキメラ腎臓ができてしまいます。ですから、腎原基は明治大学の研究成果である『ヒト腎臓再生医療用遺伝子改変ブタ』の胎仔から採取したものを使います。既存の前駆細胞がいなくなる遺伝子操作が加えられているので、注入した前駆細胞だけが残ります」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か