著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「事実」は「論理」でなく人間の研究で示されることが必須

公開日: 更新日:

「論理」でなく、「事実」として示された情報を選ぼうということですが、この区別もなかなか難しい面があります。例えば「抗酸化物質であるβカロテンにがんの予防効果あり」という見出しを見ただけでは、論理なのか、事実なのかの判断は困難です。多くの人は見出しだけを見て事実だと思い込んでしまうかもしれません。

 論理か、事実かの区別をするためには、その根拠となっている研究がどういうものであるかをチェックする必要があります。「抗酸化物質βカロテンががん化を予防する」という論理が、事実としてどう示されているのか、というわけです。

 その研究が、試験管内で培養された細胞のがん化をβカロテンが予防したという実験は事実でしょうか。これは試験管内での事実かもしれませんが、人間にとっては単にβカロテンががん化を予防するかもしれないという仮説を生み出しただけです。

 それでは、これがマウスのがんを予防したとなるとどうでしょうか。これはかなり事実に近づいているとは言えますが、あくまでマウスに関しての事実にすぎず、人間に対してはここでも仮説にすぎません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁