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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

臨床研究の種類 「観察研究」と「介入研究」の違いはなにか

公開日: 更新日:

 健康についての情報が役立つかどうかは、まず人間についての研究であるかどうかが第一で、人間全体を対象にした「臨床研究」であることが最低条件です。その「臨床研究」には、「観察研究」があり、その中に「記述研究」「分析研究」があり、後者には「症例対照研究」「コホート研究」「生態学的研究」があります。そして今回紹介するのは「介入研究」あるいは「実験研究」と呼ばれる研究です。

「観察研究」はただ観察するだけの研究ですが、「介入研究」はそれに加えて研究者の意図が入るところが異なります。例えばインフルエンザと抗インフルエンザ薬の効果を「観察研究」で検討した場合には、医療現場で抗インフルエンザ薬を飲んだ人と飲まなかった人を比較して治癒期間を比べるというわけですが、そこに研究者の意図はありません。現場の医者と患者が薬をどうするか相談して決めています。

 それに対して「介入研究」では、薬を飲むか飲まないかを、医者患者の意思と関係なく、研究者が決めているのです。研究者が抗インフルエンザ薬の効果を「実験」しているのです。


「実験」と書くと、それは人体実験なのか、という疑問が出るかもしれません。驚かれるでしょうが、「介入研究」は「人体実験」なのです。抗インフルエンザ薬の効果を確かめるためには、人間で実験する必要があります。そうすると「観察研究」ではなぜダメなのかという疑問が生じるでしょう。今回からしばらくは、この「人体実験」である介入研究の必要性とその解釈について解説していきます。

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