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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

コホート研究にもある重大なバイアス 「交絡因子」とは?

公開日: 更新日:

 症例対照研究に結果をゆがめてしまうバイアス(編集部注=かたより)があるように、コホート研究(同=分析疫学の手法のひとつ。特定の要因に暴露した集団とそうでない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究のこと)にもバイアスがあります。コホート研究なら大丈夫ということはありません。今回はコホート研究のバイアスについて説明します。

 前回、コホート研究として、冷え体験を調べておいて、その後にインフルエンザにかかるかどうかを「前向き」に追跡して、冷え体験があるグループが、ないグループと比べて、2倍インフルエンザになりやすいという結果が出たとしましょう。しかし、冷え体験があるグループの乳幼児の割合が30%、ないグループの乳幼児の割合が15%だとします。乳幼児は親が代わりに答えるために、「ちょっと汗をかいた」「ちょっと薄着だった」というように、冷え体験が高い率で報告された状況です。

 乳幼児のインフルエンザにかかる率がそれ以外に対して2倍だとすると、冷え体験があるグループのインフルエンザの増加は、乳幼児が多いことを反映しているだけで、冷えとの関係は見せかけにすぎないというわけです。

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