生き延びようと決めました…医師の森田豊さん白血病との闘い

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 最初に不調を感じたのはゴルフをした2025年7月3日でした。標高が高いゴルフ場で、息切れを感じたんです。標高1500メートルだと、医学的にはそんなに息切れしないはずなのに……。いろんな方に「高山だと息切れするんですよね」と聞いて回ると、みんな「大丈夫ですよ」と答えるから、不安になりました。

 僕は例年、CT、MRI、血液検査を欠かさず受けていて、大した異常を指摘されたこともないし、大病の経験もありませんでした。だから、あまり気にせずにいたところ、7月15日の朝に強い疲労感を感じ、自分のクリニックで採血してみたら、普段は13グラム/デシリットルくらいあるヘモグロビン値が8台。「どこかから出血しているサインもないから血液が正常に作られていないんだ」と思いました。その日を境に動悸や息切れを強く感じるようになり、歯磨きをしたら歯茎から出血して「こりゃまずい」と慌てて病院に相談。「とりあえず輸血しましょう」ということになりました。

 本音を言うと、7月15日の時点で「入院しなきゃいけない状態だ」と感じてはいたんです。でも、クリニックの診療で患者さんの予約も入っているし、レギュラー番組や講演会も抱えていて、キャンセルしにくい。だから「入院すべきだ」と思う半面、「これは一時的な貧血じゃないか」という淡い期待も持っていたんです。

「急性骨髄性白血病」と確定診断が出たのが7月30日。それまでの約2週間は体調不良を理由に仕事を休み始めていましたが「病名を公表しないと納得してもらえない」と思い、ブログなどで公表しました。それで気持ちがかなり楽になりました。

 僕はまだ62歳ですけど、今まで全力で駆けてきた人生なので、「もういいかな」という気持ちになりました。講演でも「死ぬ前日まで元気なピンピンコロリが一番いい」と話してきましたし。数年前の造血幹細胞移植のパンフレットには「55歳までが目安」と書かれていましたから、還暦を超えてからの移植は難しいと考えていました。

 でも、その時期に知ったのですが、最近では60代の移植でもよい成績が出ている。新薬も効果を上げていて、僕も抗がん剤治療の際に、2024年に承認された薬がとてもよく効いたんです。それで考えが変わりました。

 他にも2つの理由がありました。ひとつは自分が今死ぬと周囲に深い悲しみが生じること。とくに残された家族です。だから、ピンピンコロリより、徐々に衰えていくほうが“いい死に方”なんじゃないの、と思えてきたのです。

 もうひとつは病気を公表した後、ネットを通じていろんな方から励ましの言葉をいただいたこと。同じ白血病の方、がんで闘病中の方からも「頑張ってください」と多数寄せられました。なのに、医療ジャーナリストで医者の僕が「生きるための治療は断念したい」と言ったら、今まで何のために医療に従事してきたのかわからない。病気と闘っている人たちのためにも生き延びようと決めました。

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