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小堀鷗一郎医師

1938年、東京生まれ。東大医学部卒。東大医学部付属病院第1外科を経て国立国際医療センターに勤務し、同病院長を最後に65歳で定年退職。埼玉県新座市の堀ノ内病院で訪問診療に携わるようになる。母方の祖父は森鴎外。著書に「死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者」(みすず書房)。

「生かす医療」を切り替えるターニングポイントがある

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの感染爆発を最前線で食い止めているのが医師や看護師だ。彼らは命を救うために全力で取り組んでいる。だが、医療の役割は救命だけではない。訪問診療医として400人以上をみとってきた小堀医師は「死なせる医療も必要」と言う。それは我々に「どんな死を迎えたいか」を考えさせるものだ。

 訪問診療の現場は壮絶だ。ノミやシラミをうつされないように気を使い、堆積された排泄物の周りを飛び回るハエにも悩まされる。山積みのゴミの中でネズミと一緒に暮らしていた人もいた。

 外科医として病院に約40年間勤務し、現在の病院でも70歳近くまでメスを握ってきた小堀さんは、初めて訪れた在宅医療の現場で衝撃を受けたという。

「皆さんには想像できない世界でしょうね。『ネズミが通ったところなら乾いているから大丈夫』という判断をしながら診察するのです。社会格差は皆さんが考えている以上に存在しています」

 小堀さんは長年、外科医として救命医療に力を注いできた。だが、訪問診療に携わるようになってから、「死なせる医療」の必要性に気づかされたという。

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