著者のコラム一覧
宮沢孝幸京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授

京都大学ウイルス・再生医科学研究所附属感染症モデル研究センターウイルス共進化分野准教授。日本獣医学会賞、ヤンソン賞などを受賞。小動物ウイルス病研究会、副会長。

新興感染症はすべての動物に表れる どーんと受け止めるしかない

公開日: 更新日:

 私はネットでは「にゃんこ先生」と呼ばれている。しかしその正体は、この道33年のベテラン獣医ウイルス学者である。私は、犬や猫、猿のウイルスを中心に、地道に33年間研究を行ってきた。これまで扱ってきたウイルスは優に50種を超える。大学では、ウイルス学、人獣共通ウイルス感染症学、公衆衛生学の講義を担当してきた。

 今回の新型コロナウイルス(SARS―CoV―2)は人に新しく出現したいわゆる「新興ウイルス感染症」である。人の新興ウイルス感染症はほとんどすべて動物由来である。動物のウイルスが変異して、何らかの経路で人に感染し広がるのである。新興ウイルス感染症は、人にだけ表れるものではなく、すべての動物に表れる。獣医ウイルス学者は常に新興ウイルス感染症と対峙している。

 今回の新型コロナウイルスが昨年末、武漢で発生して以来、私はハラハラしながら成り行きを見守ってきた。日本に侵入してから数週間で、私は現在のような事態になることを覚悟し、SNSを中心に、これは「どーんと受け止めるしかない。」と発信した。

 獣医学領域においては、さまざまな方法で新興ウイルス感染症に対処する。新興ウイルスの多くは、ワクチンや治療薬はない。産業動物においては、感染動物を発見し、それを殺処分することによって、感染を封じ込める。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々