著者のコラム一覧
宮沢孝幸京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授

京都大学ウイルス・再生医科学研究所附属感染症モデル研究センターウイルス共進化分野准教授。日本獣医学会賞、ヤンソン賞などを受賞。小動物ウイルス病研究会、副会長。

アルコールには弱いのにヒトの新興ウイルスになった理由

公開日: 更新日:

 ウイルスは細胞の中にあるタンパク質合成工場を借りて、必要なタンパク質を合成する。とにもかくにもウイルスは、細胞の中に侵入しなければならない。

 コロナウイルスは一番外側に「エンベロープ」と呼ばれる膜をかぶっている。実はこのウイルスは、細胞から飛び出してくる際に、細胞の膜を拝借してくる。従って、細胞の膜もウイルスの膜も原料は同じで「脂質」というものでできている。

 ウイルスは、エンベロープ膜をまとっているウイルス(エンベロープウイルス)と、エンベロープ膜をまとっていないウイルス(ノンエンベロープウイルス)に大別される。脂質でできている膜は有機溶媒に弱い。コロナウイルスがアルコールに弱いのはこうした理由なのである。

 コロナウイルスが細胞に入る経路は2つある。1つは細胞の表面で細胞の膜とウイルスの膜が融合する経路である。もう1つは細胞内に「エンドサイトーシス」という作用により取り込まれてから、細胞内の「エンドソーム」という区画でエンドソームの膜とウイルス膜が融合することによって侵入する経路がある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発