新型コロナで問題に トリアージで助かる命、助からない命

公開日: 更新日:

 最近「トリアージ」という言葉を耳にする。日本語では「識別救急」。患者の治療の順番、治療方法などの優先順位を選別することをいう。新型コロナウイルス感染拡大で医療現場ではこのトリアージ問題が深刻だ。

 たとえば、ある医療施設に人工呼吸器が2台しかないとする。そこに人工呼吸器を必要とする患者が3人いた場合、「人工呼吸器をどう配分するか」が浮上する。①救命の可能性の高い人優先②若い人優先③使用開始時期の順番優先④患者の(譲る)意思などが想定されるが、そうした「トリアージ=命の選別」を誰が行うか。非常時において医療従事者は、倫理的葛藤を迫られる。

 その人工呼吸器だが、現在、日本の医療施設には約2万2000台あるといわれている。感染の動向次第では、絶対数の不足も想定される。実際、感染者数、死者数ともに世界でもっとも多い米国では、このまま推移すれば96万人が人工呼吸器が必要になるという推計もある(米国集中治療学会)。だが、現段階では米国内に約20万台しかないという。日本も対岸の火事ではすまされない。トリアージで助かる命も助からないことがあるかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い