著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

新型コロナワクチン接種を妨げるアメリカ医療の暗い歴史

公開日: 更新日:

 アメリカでは新型コロナワクチンの接種が始まりましたが、3割のアメリカ人は接種に消極的または接種を拒否していることが分かっています。その理由はワクチンへの不信から政治的な理由までさまざまですが、特に黒人の間で不信の原因になっているアメリカ医療の暗い歴史にスポットが当たっています。

 アフリカンアメリカンは、白人に比べ新型コロナウイルスで死亡する確率が4割近く高くなっています。にもかかわらず彼らが接種を嫌がる背景には、厳しい差別の中で起こった「医療実験」の過去があるのです。

「タスキギー梅毒実験」はアラバマ州の貧しい黒人男性600人を対象に、梅毒を治療しなかった場合の症状の進行を長期間観察することを目的に1932年に始まりました。しかし被験者の3割が当初は梅毒に感染しておらず、実験の間も感染を知らされず、「貧血や倦怠感などの症状に対し、連邦政府による医療が無償で受けられる」とだけ説明されていました。

 さらに抗生物質で治療できることが分かってからも、一人もその治療を受けていないなど、倫理的に深刻な問題を抱えながらも、実に40年間にわたって続けられました。1972年、内部告発によってようやく終止符が打たれ、97年、クリントン大統領が正式に謝罪を行いましたが、黒人コミュニティーの間ではトラウマと医療に対する強い不信が残りました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  4. 4

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 5

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 7

    中川翔子「Switch2転売購入疑惑」を否定も火に油…過去の海賊版グッズ着用報道、ダブスタ癖もアダに

  3. 8

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 9

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る