著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

患者のQOL維持が何より重要 食事も好きなものを好きな時に

公開日: 更新日:

 読者の中には、「健康体ではないのだから、食べたいものは我慢するのが当たり前」と考える方がいるかもしれません。しかし、在宅医療ではそうではありません。

 在宅医療で重要視しているのは、患者さんのQOL(生活の質)をなるべく落とさないこと。そのために常に患者さんに寄り添い、話し合い、すり合わせながら対処し、改善していきます。特に、食べることは患者さんにとってとても大切な要素。だから、患者さんが安全に食べたい食事をできるように、患者さんの生活全体を見ながら、私たちはできる限りのことをするのです。

 印象に残っている患者さんがいます。その方は70代後半の男性で、大腸がんの摘出手術を受けたものの、がんが骨転移。当初は化学療法をしていましたが、そのために入院中は日常的に食事があまり取れなくなり、点滴をする生活を送っていました。しかしやがて本人の希望で退院し、在宅医療に切り替えることとなりました。

 在宅医療が始まった初日、私たちは患者さんの要望を聞くことから始めました。ご本人の意思ははっきりされており、開口一番「化学療法による食欲減退だけでなく、そもそも病院での食事が口に合わなかった」「味も何もしなくて、もういらないとなってしまう」「口から食べる楽しみを味わいたい」とおっしゃいました。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波