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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

佐藤弥生が乳房全摘した非浸潤性乳がん 若ければ経過観察も

公開日: 更新日:

 乳がん手術を受ける人のうち3人に2人は、乳房温存手術を受けています。乳頭と乳輪を残してがんを部分的に切除する方法です。全摘しないため、乳房の変形も比較的に軽度で済みます。

 しかし、ステージ0の乳がんを全摘したことが話題を呼んでいるのが、モデルの佐藤弥生さん(43)です。術後の病理検査で転移はなく、経過は良好。「行動、運動制限は無いので毎日美味しい物をいっぱい食べてます」とSNSで語っています。無事に元の生活に戻ることができたのは、何よりでしょう。

 このタイプの乳がんは最近、増えています。ポイントを整理しておきましょう。

 佐藤さんが患ったのは非浸潤性乳がん(DCIS)と呼ばれるタイプ。乳がんは乳管などの細胞から発生しますが、非浸潤性とある通り乳管の外に広がることなく乳管内にとどまっています。つまり、転移しません。比較的おとなしいがんで、命に関わることはありません。まして佐藤さんはステージ0でした。

 胃がん大腸がんなどほかの多くのがんでステージ0なら、部分切除で済みます。佐藤さんが全摘したのはなぜかというと、厄介な性質が関係しています。

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