著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

心臓と認知症との意外な関係 米国医師会の医学誌で報告

公開日: 更新日:

 心臓と脳はどちらも生きるために必要不可欠な臓器です。そして、その両者は決して無関係ではありません。心臓は血液によって全身に酸素を運ぶポンプで、その血液は脳にも運ばれているからです。

 心房細動という不整脈があります。これは心臓の中の心房という部分が、けいれんのような異常な動きをして、動悸などの不快な症状が起こる病気です。この心房細動が長く続くと、心房は大きくなって血液の流れも悪くなり、そこに血の塊である血栓ができやすくなります。その血栓が血液に乗って脳に運ばれると、脳の血管が詰まる脳梗塞の原因になるのです。

 しかし、もっと軽い心臓の異常でも、脳の病気のリスクになることが、最近注目されるようになっています。今年の米国医師会による医学誌に、心臓の異常と認知症との関係についての論文が掲載されました。アメリカで4000人以上の中高年を、心臓の超音波検査で詳細に調査したところ、心臓の左房という場所の機能が低下すると、認知症のリスクが最大で2倍程度高まることが明らかになったのです。

 もちろん心房細動で脳梗塞を起こせば、脳の働きは低下して認知症も増えるのですが、そうした病気はなく、心臓の働きが少し低下した程度でも認知症自体は増えていました。心臓を健康に保つことは、認知症予防にも重要であるようです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」