著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【細菌性食中毒】整腸剤は問題ないが下痢止めを使うと回復が遅れる

公開日: 更新日:

 今回は夏場に多い細菌性食中毒の治療についてお話しします。

 よく見られる吐き気や嘔吐、下痢などの症状は、細菌自体によるものではなく細菌の出す毒素である場合が多く、毒素に対して抗菌薬を使っても症状が改善することはありません。また、冬場に多いノロウイルスによる食中毒に対しても抗菌薬は無効です。このため、食中毒では症状に対する対症療法が主な治療法となっています。特に、下痢、嘔吐に伴う脱水症状は致命的になるケースもあるので、早めに医療機関を受診することが大切です。

 脱水時には水分と一緒に塩分も失われている場合が多く、塩分も一緒に摂取することが有効です。脱水症の治療に用いられる経口補水液(ORS)については、以前も取り上げました。下痢をしたり嘔吐している状態でも、水分と塩分はそれなりに吸収されます。飲める時に飲むように心がけましょう。小さなお子さんなどには、スプーンでゆっくりと飲ませるとよいでしょう。吐いてしまっても、10分ほど待ってから繰り返し飲ませてください。また、脱水症状がひどい場合には点滴なども必要となります。

 さて、食中毒の症状のひとつに下痢があります。脱水の原因にもなるので、下痢止め(止瀉薬)を使いたくなるところですが、食中毒による下痢に対しては下痢止めを使うべきではありません。

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