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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【細菌性食中毒】カンピロバクターは少ない菌量でもヒトに感染する

公開日: 更新日:

 今回は、細菌性食中毒の中でも近年、発生件数が最も多いとされている「カンピロバクター食中毒」についてお話しします。

 カンピロバクターによる食中毒は年間約300件、患者数2000人程度で推移していましたが、コロナ禍でこの2年は減少しています。原因菌であるカンピロバクターは、鶏、豚、牛の腸内に生息している細菌です。また、犬や猫などのペットの糞便にも存在するため、注意が必要です。ヒトや動物の腸管内でしか増殖しない、乾燥に弱い、通常の加熱調理で死滅するなどの特性を持っています。潜伏時間が一般に1~7日間とやや長いことが特徴です。また、数百個程度と比較的少ない菌量でも、ヒトへの感染が成立することも知られています。

 特に生の状態や加熱不足の鶏肉が原因となるケースが多く、平成27年に国内で発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品として鶏肉が疑われるもの(鶏レバーやささみなどの刺し身、鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生製品、加熱不足の調理品など)が92件認められています。

 症状は他の細菌性食中毒と同様、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、悪寒、倦怠感などです。多くの患者は1週間ほどで治癒します。死亡例や重篤例はまれですが、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足のまひや顔面神経まひ、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症するケースがあることが指摘されています。

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