著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

俳優・山崎努さんはステージ4から回復 食道がんでの高齢者に負担のない治療選択

公開日: 更新日:

 俳優の山崎努さん(88)がステージ4の食道がんで闘病されていたことを月刊文芸春秋に語り、話題を呼んでいます。幸い治療を終えたいまは、すっかり元気になられたようで何よりです。

 文芸春秋によると、胆のうの痛みで受診。そのときの担当医に食べ物ののみ込みにくさを伝えたことから精密検査を受けるように言われ、食道がんが判明したそうです。一緒に医師の説明を聞いていた娘さんの励ましで「行けるところまで行ってみるか」と思い、「放射線治療だろうが化学療法だろうが、素直に医者の指示に従ったよ」とふり返っています。

 当時87歳。一般の方は高齢でがんが見つかりながら、がんが劇的に良くなることは意外に思われるかもしれません。決してそんなことはなく、少なからずあります。私の恩師・養老孟司東大名誉教授も86歳で肺小細胞がんになられ、抗がん剤と放射線治療で回復されました。“高齢になるとがんができない、進行が遅い”は根拠なき迷信ですが、適切な治療を受ければ高齢でもしっかりと回復するのです。

 食道がんの場合、早期なら内視鏡切除をはじめ手術もありますが、開腹手術は外科手術の中でも大がかりで高齢者には肉体的な負担が重い。一方、山崎さんも受けられた放射線治療と化学療法を組み合わせる化学放射線療法は、臓器を温存できる点で負担が軽い。ステージ4でも、遠隔転移のない4aなら化学放射線療法での回復は十分可能です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択