著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

高血圧予防のための温泉浴は午後7時以降が効果的? 別府市調査

公開日: 更新日:

 高血圧は将来的な心臓病脳卒中の発症リスクを高めることが知られています。そのため、高血圧の発症予防や、血圧の適切なコントロールに対する関心は、日増しに高まっているといえるでしょう。

 減塩や適度な運動など、高血圧の予防に効果的と言われる生活習慣はさまざまですが、温泉入浴もそのひとつだと考えられています。しかし、どのような入浴スタイルが高血圧の予防に効果的なのかについて、詳しいことは分かっていませんでした。

 そんな中、温泉入浴に関する習慣と高血圧の関連性を検討した研究論文が、国際的な科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に2022年11月14日付で掲載されました。

 この研究は、温泉で有名な大分県別府市の住民を対象としたアンケート調査の結果を解析したものです。対象となったのは、アンケート調査に回答した65歳以上の1万428人で、このうち高血圧を患っていた人は4001人でした。

 温泉入浴の習慣について解析したところ、高血圧に該当する人の割合は入浴時間が10分未満の人と比べて、10~19分の人で16.8%、20~29分の人で23.5%、統計学的にも有意に低下していました。ただし、30分以上の人では高血圧との関連性は認められませんでした。

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