糖尿病患者が治療を中断すると何が起こる? ドイツで新タイプの治療薬輸出禁止の動き

公開日: 更新日:

 ドイツの連邦医薬品医療機器審査局(BfArM)が、デンマークの製薬大手ノボノルディスクの2型糖尿病治療薬「オゼンピック」(一般名セマグルチド)の輸出禁止を検討しているという。背景には、新たなタイプの2型糖尿病治療薬に大きな減量効果があることがわかり、美容、痩身、ダイエットなどの不適正使用が横行。肝心の2型糖尿病治療に支障が起きかねない事態になっているからだ。こうした事態を受けて、もし糖尿病を治療していた人が中断したらどんなリスクがあるかを含め、糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に解説してもらった。

 ◇  ◇  ◇

 オゼンピックは、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬の一種。全身の細胞に分布しているGLP-1受容体を刺激することで、単に血糖値の抑制だけでなく、心臓や腎臓などの保護に良い影響を与えるとの研究結果が次々発表されている注目の薬だ。とくに効果が大きいのは減量で、肥満率が高い欧米では日本以上の人気になっている。

「GLP-1受容体作動薬は、血糖値の上昇を抑えるだけでなく、胃からの排泄を抑え、脳の食欲中枢に働きかけることで満腹感を促し、空腹感を抑えます。その結果、すぐれた減量効果を発揮することが確認されています。とくにオゼンピックはそれ以前のGLP-1受容体作動薬よりも減量効果が大きいとみられているためにダイエット目的の使用が急増。欧州全体で品薄になっていて、2型糖尿病患者への供給が危ぶまれる事態に陥っているのです。日本でも同様なことが起きる懸念があり、厚労省が『GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼』と題する通知を出したり、日本糖尿病学会がGLP-1受容体作動薬に関して見解を発表するなどして、美容、痩身、ダイエットなどの不適正使用に関して強く警告を発しています」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  2. 2

    参政党・梅村みずほ議員の“怖すぎる”言論弾圧…「西麻布の母」名乗るX匿名アカに訴訟チラつかせ口封じ

  3. 3

    キンプリ永瀬廉が大阪学芸高から日出高校に転校することになった家庭事情 大学は明治学院に進学

  4. 4

    さらなる地獄だったあの日々、痛みを訴えた脇の下のビー玉サイズのシコリをギュッと握りつぶされて…

  5. 5

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  1. 6

    山本舞香が義兄Takaとイチャつき写真公開で物議…炎上商法かそれとも?過去には"ブラコン"堂々公言

  2. 7

    萩生田光一氏に問われる「出処進退」のブーメラン…自民裏金事件で政策秘書が略式起訴「罰金30万円」

  3. 8

    二階堂ふみ&カズレーザー電撃婚で浮上したナゾ…「翔んで埼玉」と屈指の進学校・熊谷高校の関係は?

  4. 9

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 10

    日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた