著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

漢a.k.a.GAMIさんは全摘…膀胱がんは化学放射線療法で膀胱温存も

公開日: 更新日:

 ラッパーの漢a.k.a.GAMIさんが膀胱がん手術のため活動を休止すると報じられました。自らのインスタグラムによると、膀胱を全摘するといいます。そうすると、尿をためるところと尿の出口がなくなるため、切除した膀胱の部分を、切り取った小腸の一部でつないで尿の通り道とする回腸導管造設術も行うそうです。

 国立がん研究センターの「がん統計」によると、2019年の膀胱がん罹患数は男性が1万7498人。女性のおよそ3倍で、男性に多く見られます。

 膀胱がんを組織型で分けると、90%が移行上皮がんで、キノコのように増殖するのが特徴です。血尿や頻尿、尿意切迫、排尿時の痛みなどの症状が見られることもありますが、早期は無症状。私も2018年12月にエコー検査で膀胱がんを見つけたとき、症状がありませんでした。移行上皮がんで早期なら、内視鏡で切除し、膀胱を温存するのがベストでしょう。

 残りは扁平上皮がんと腺がんで、漢a.k.a.GAMIさんは扁平上皮がんだそうです。このタイプは慢性的な感染症や粘膜への刺激、尿路結石によって発生すると考えられています。エジプトではビルハルツ住血吸虫による膀胱がんが多く、膀胱の扁平上皮がんの発生率が高い。粘膜への刺激は尿道カテーテルの留置などが一般的です。

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